子どもの 「心」を育てる3 積み重ねる心 


今月のテーマは、「積み重ねる心」です。
スピード社会と言われる現代では、どうしても
すぐに結果を求めてしまいがちです。それが、
子どもにどのような影響を与えているのか、
親自身の心構えを含めて考えましょう。

30年あまり幼児教育に携わってきた私の考えの
ベースになっているのは、「一夜にして成し遂
げたものは、一夜にして崩れる」ということで
す。

現代は、「超」がつくほどスピード社会です。
その激流の中にあって、大人も子どもも、
すべてに「早く早く」とせかされているような
気がします。

お恥ずかしいことに、私自身、コンビニエスス
トアのレジに並んでいて3分間待たされるだけ
でもイライラし始めます。

周りの人たちを見ても同じ様子。
以前なら列ができて少々待たされても「仕方が
ない」と思えていたような気がします。

ところが、今はたった1、2分でも待たされるこ
とに我慢がならない。仕事でも何でも、すぐに
結果を求めてしまいます。

効率が大事で、ムダなことはしたくない。
つまり、社会全体に、何事も「一夜にして成し
遂げたい」という雰囲気が漂っているような気
がします。

すぐに結果を求めない

もちろん、すぐに「成功」という結果を出せる
人もいるでしょう。

しかし、多くの場合、その成功は長続きしない
のではないかと思うのです。

やはり、コツコツと小さな努力を積み重ねてい
った人が、よい結果を手にすることができる。

それは、単にお金持ちになるということではな
く、自分らしい人生を送ることができる、
と言ってもいいでしょう。 

すぐに結果を求めてしまうと、かえって、
すぐにあきらめてしまうようになるのではない
でしょうか。

しかし、世の中は「やってみないとわからない」
ことばかり。

ですから、焦って結果を求めないことが絶対に
必要だと思うのです。

だからこそ私は、コツコツと努力を積み重ねる
ことの大切さを、子どもたちに伝えていきたい
と考えています。

簡単なことを繰り返すことに意味がある

では、どうすれば「積み重ねる心」を育むことが
できるのでしょう。

口で言うだけではダメで、子どもたちはやはり、
経験を通してそのことを実感します。

最大のポイントは、「簡単なことを何度も繰り
返し経験させる」ということ。

たとえば、「1+1=2」といった計算は、子ど
もでもすぐにできるようになります。

すると大人はすぐに「じゃあ、もっとむずかし
い計算をやってごらん。
「5+7は?」などと言いたくなるものです。

でも、子どもは「1たす1は2」ができて、
「正解、よくできました!」と言われると、
ものすごくうれしい。

何度でも言われたい。

その気分を何度も繰り返し味わうことで、
「よし、自分はできる」と自信がわいてくる
のです。

そして、何度も繰り返す=積み重ねること
の意味を知るのです。

大人はつい、
「そんな簡単なことを何度やっても意味がない」
と、どんどん難度を上げようとしがちです。

でも、まずは子どもに「できた!」というよろこ
びを、お腹がいっぱいになるまで味わわせる。

すると子ども自身が、「もっとむずかしいことに
チャレンジしたい」と思うようになります。

そのときこそが、最大のチャンス。

人間は、自分で「こうしたい」「こうなりたい」
と思ったときに、力が伸びていくのです。

そんな積み重ねる心を育むために、
わが園で行なっているのは、スポーツです。

スポーツというのは、いきなり難度の高いことは
できません。

簡単なこと、いま自分ができるレベルから一歩一
歩進んでいかないと、上達していかないのです。

【繰り返すことで「脳?が鍛えられる】

同じことを繰り返すというのは、脳の発達の面から
いっても、とても良いことなのだそうです。

たとえば、幼い子は椅子に乗ってそこからジャンプ
をするのが好きなので、何度も椅子に乗ってはジャ
ンプする。

親としては「うるさいから、やめなさい!」
と言いたくなりますが、脳科学的には、同じことを
繰り返すというのは、脳を鍛えることになるそうで
す。

だから、子どもが同じことを繰り返していたら、
「ああ、いまこの子の脳は鍛えられているんだ」
と思いなさいと。

ですから、子どもが1つのことを繰り返している
ときは、ブレーキをかけないことが重要なのです。

親としては、ここが頑張りどきですね。

親自身も短気を起こさず、一歩一歩前に進んでい
く子どもを見守り続けること。

私も子どもを持つ身でよくわかりますが、
これはなかなかむずかしい。

しかし、そのうち、子どもはできなかったことが
できるようになり、

さらに自分から「もっとうまくなりたい」
「もっとむずかしいことにチャレンジしよう!」
と言うようになります。

その日を楽しみにしながら、
親も辛抱を積み重ねていきましょう。

 
バディスポーツ幼児園
理事長 菊 池  剛