子どもの 「心」を育てるシリーズ 5 「のめりこむ心」


第5回目のテーマは「のめり込む心」です。
これは親が必死になっても思い通りにいくもの
ではありません。

ここでは、子どもの興味や才能を引き出す、
重要な親の役割を考えてみましょう。

サッカーの元日本代表で、イタリアの強豪チー
ムでも活躍した本田圭佑選手。
いまや指導者、実業家としても活躍しています。

彼は自分でも言っているように、天才肌ではな
く努力の人。目標を「ヨーロッパのクラブで背番号
10を着ける」と定め練習後に語学の勉強をしていた
そうです。

そんな彼は、「コツコツ努力することで、1年後
の自分を想像したとき、すごく劇的に変わるとい
うことを、僕は経験して味をしめてしまったんで
す」と語っています。

前々回、「積み重ねること」の大切さを取り上げ
ましたが、まさに本田選手のこの言葉に尽きるで
しょう。

そして彼は、ますますサッカーにのめり込んで
いった結果、選手としてだけでなく指導者として
サッカーのすばらしさを多くの人に伝えるという、
彼自身が望んでいた生き方ができたるのだと思い
ます。

【子どもを夢中にさせる仕掛けを作る】

そこで今回は、「のめり込む心」について考えて
みたいと思います。

そもそも、人は何かにのめり込もうと思っての
めり込むものではありません。

気がついたら、そればかりやっている。
時間を忘れ、いつまでも飽きずにやっている。

それが、のめり込んでいる状態です。

ですから、わが子に「何かのめり込めるものを見
つけてほしい」と考えるなら、まず、子どもをよく
観察しましょう。

「ごはんの時間よ」と声をかけても気づかず没頭
していることはないでしょうか。

「それが何の役に立つの?」と思うことでもいい。

それが将来、何につながるかはわかりませんが、
何かにのめり込むことは集中力や根気強さにつな
がるのです。

まずは、子どもが「やーめた」と言うまで、
見守りましょう。

のめり込めるものが見つかったら、いよいよ親の
出番です。

子どもが「もっとうまくなりたい」と思えるよう
な仕掛けを作る必要があります。

たとえば、ゲームクリエイターは、いかに子ども
たちを夢中させるかということを考えています。

たいてい、ゲームの1面はすぐにクリアでき、
2面、3面とハードルが上がりつつクリアできる。

4面くらいで”中ボス”登場で
「手強いぞ」
となりますが、なんとかクリア。

とうとう”大ボス”が登場し、負けてしまいます。

でも、中ボスを倒した自信があるから、
大ボスにやられても
「くそーっ! 次こそ倒してやる!」
と闘志満々。

再び、チャレンジします。
すると経験から学んで、大ボスもやっと倒すこ
とができて大成功! 

すると、また新たなチャレンジがしたくなる……。

【ステップアップのタイミングを考える】

つまり、子どもが何かにのめり込んでいたら、
ある程度成功したところを見計らって、
知識や技術がさらにステップアップするような
機会を与えてあげるのです。

将棋に興味を示したら「将棋教室に行ってみ
る?」、

動物図鑑を夢中で読んでいたら「実物を見
に動物園へ行こう!」と。

このタイミングを見極めるには、
子どもを注意
深く観察する必要があります。

よけいな口出しはせず目を配る。

それが、子どもを伸ばすために親ができる、
唯一のことなのだと思います。

子どもがなかなか夢中になれるものを見つけら
れないでいる場合には、親が何かを与えてやらせ
ることも方法です。

もちろん、イヤだというのを強制するのは
よくありません。

【子どもの興味や才能に気づく】

ただ、幼い子であれば、自分の興味や才能に気づ
かないことが、よくあります。

ですから、親から見て「この子にはこれが向いて
いるようだ」と感じたら、まずはそれをやらせてみ
るのもいいと思います。

わが園のOBで、ピアノが得意な男性がいます。

いつも母親がピアノを弾くのを楽しそうに見てい
たそうで、幼児の頃からレッスンに通わせていまし
た。

小学生の頃、彼はピアノをやめたくなったよう
ですが、母親は頑としてやめさせず、
結局、大学受験の前まで続けていました。

やがて彼は大学に進み、自己紹介のときにピア
ノを弾いたことで、教授に名前を覚えてもらうこ
とができ、現在、勤めている会社にも推薦してもら
え、毎日を楽しく過ごしているようです。

彼は、ピアノを続けていてよかったと、
母親に感謝していました。

ひょっとすると母親は息子に、世界で活躍する
ピアニストになってもらいたかったのかもしれませ
ん。

でも、彼がのめり込むものを見つけられたこと
で、仕事もプライベートも楽しく充実した毎日を
過ごせているのなら、親としてはそれ以上、望むこ
とはないのではないでしょうか。
 
バディスポーツ幼児園
菊池 剛